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移住関連本ブーム

 コロナ禍のなかでの移住/二拠点ブームを反映して、関連本の出版もブームのようだ。

 昨日も、東京駅で少し待ち時間があったので駅なかの書店を物色していたところ、新書コーナーに2冊も関連の新刊本があるのを発見した。1冊は、柴田剛『地獄の田舎暮らし』(ポプラ新書)、もう1冊は澤田晃宏『東京を捨てる コロナ移住のリアル』(中公新書ラクレ)である。

 前者は、タイトル通り、安易な移住ブームに警鐘を鳴らす内容。帯には「9割の田舎移住は終わりの始まり?甘い言葉に騙されるな!」と盛大に書かれていて、思わず笑ってしまう。


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 目次は下記の通りである。

第1章 安易に移住ブームに乗っかると地獄を見る(コロナ移住のコア層は30~40代。首都圏出身者が多い/近年の移住は「内陸」ブーム ほか)
第2章 地域・物件選びで見る地獄(85歳のおばあさんでさえ「よその者」/太陽光パネルという思わぬ落とし穴 ほか)
第3章 生活費で見る地獄(地方移住の盲点ー生活コストが意外とかかる/信じられない保険料 ほか)
第4章 人間関係に見る地獄(田舎と政治活動/「オレが、オレが」の移住者がもたらすもの ほか)
第5章 それでも田舎に住みたい人へ(景観が固定した土地と立地を買う/市長や町長、村長を担いでいる後援会長クラスに挨拶 ほか)


 ブームには光もあれば影もある。その影の部分を多少露悪的にフォーカスしていて、マーケティング的にもこういう線は確かに「あり」でしょう、という内容である。
 私もブームに乗せられているだけかもしれない一人として、本来なら早速購入して読むべきかもしれないが、でもすでに物件購入を決めた身としては、今さらこういう本は読みたくない(笑)。購入は見送り。


 もう一冊、『東京を捨てる コロナ移住のリアル』の著者・澤田晃宏は、様々なジャンルで本を書いているジャーナリストで、『ルポ 技能実習生』(ちくま新書)は以前読んだことがある。澤田は去年6月、自身も長く住んだ東京を離れて淡路島に移住したそうだ。本書は、その体験を元にしている。
 面白そうなので迷わず購入し、帰りのバスの中で早速読み始めた。


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 目次は、下記の通りである。

第一章 満員電車にさようなら
第二章 コロナで人はどこに動くのか
第三章 コロナ移住 人気自治体を歩く
第四章 「地域おこし協力隊」という移住法
第五章 半農半エックスのリアル
第六章 都会人が知らない田舎暮らしのトリセツ


 まだ読み終えていないが、自身の体験に基づいているし、兼業農家を目指している点にも共感できる。とはいえ農業も田舎暮らしも生易しいものではないことについても、様々な具体例を挙げながら説明している。その冷静さとフェアな筆致には好感が持てる。
 
 ところで、この本の中にも書かれているが、政府が移住支援策の拡充に乗り出していて、テレワークを前提とした移住にも支援金100万円を出す制度が今年度からスタートしそうである。
 私は当面、移住ではなく二拠点生活の予定だが、でも住民票を那須に移してしまえば「移住」ということになるのか?大学のオンライン授業は「テレワーク」扱いになるのか?オンライン授業と対面(通勤)のハイブリッドは、制度上どういう位置づけになるのか?その辺りをクリアできれば、もしかして私も100万円もらえる?…とても気になる(笑)。


 ともあれ、こうして気づくと、私の書斎の一角には、「移住・田舎暮らし・里山コーナー」が形成されており、そこに収まっている本はすでに軽く30冊を超えている。
 これは私の生来の向学心のなせる業か(笑)、それともこういうものも含めて単にブームを「消費」しているだけということなのか。。。その答えは、5年後、10年後、私がどこでどんな暮らしをしているかによって見出されることになるだろう。


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米倉 律

職業:大学教員
専門分野:映像ジャーナリズム、メディア史

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